BLeagueを分析

BLeagueのデータをいろんな視点で分析したい分析素人のブログ

佐々木クリスさんの講演を受けて

サマーレクチャー

1ヶ月くらい前の話ですが、あの佐々木クリスさんの講演を聴く機会がありました。

タイトルは「攻撃の質と量で観るバスケットボールの攻防 ~そして日米トレンドの比較~」

この内容を(今更ですが)共有しつつ、実際にBリーグの2017-18のスタッツに照らし合わせて見てみたいと思います。

概要

会のタイトルに掲げてある通り攻撃側に重点を置いて、質と量とは何を意味しているかの共通認識を持つことから始まりました。

そして日米の比較、つまりはBリーグNBAの具体的な選手名なども挙げて比較していきました。

「質と量」とは!?

質 : 相手より上回る(攻撃も守備も)

量 : 相手からボールを奪い攻撃回数を多くする ≒ 奪われない(相対的に多くなる)

この会における話し手と聞き手の共通認識を初めに定義して方向性がブレないようにしていました。

「質」を深掘った話

「質」が高いとはどういうことか!?

定義 : 2Pなら2回に1回 & 3Pなら3回に1回決められること。

この定義に則って2017-18シーズンに達成できたチームを見ると、(B1では)三河、千葉、川崎、A東京、新潟、北海道、京都、名古屋D、琉球の9チームでした。ちょうど半数のチームが達成できていたので予想以上に多い印象です。

チーム 3P成功率 2P成功率
三河 36.63 53.98
千葉 34.34 56.61
川崎 36.23 51.60
A東京 35.77 51.02
新潟 34.11 52.22
北海道 34.34 50.02
京都 34.92 50.94
名古屋D 35.18 51.87
琉球 36.41 50.47

またこのセクションであった話として、日本は世界のトレンドと比べると3Pが少ないことが挙げられていました。そんな中でも琉球、名古屋D、三遠は得点につながったFG全体の中の30%以上を3Pが占めています。名古屋Dと三遠には3Pのイメージがあったのですが、琉球がそれを上回っていたことは意外でした。

チーム 3pt
琉球 35.31
名古屋D 33.33
三遠 31.51

3pt : 全体得点の内3Pが占める割合(成功率ではない)

basketballking.jp


一番興味深かった(というか知らなかった)のは Dean Oliverというアメリカの統計学者が書いた本の話です。


Basketball On Paper: Rules And Tools For Performance Analysis

試合への影響力が高い4指標として下記を挙げていたところです。

  1. eFG%(40%)
  2. 3ptの価値を加味したFG%
  3. ORB%(25%)
  4. ORBの機会に対する支配率 ORBの差を
  5. TOV%(20%)
  6. 100解の攻撃あたりのTOV発生回数
  7. FTレート(15%)
  8. FG試投数あたりのFT獲得数

最も影響度が高いとされているeFG%とは、Effective Field Goal Percentageの略で、直訳すると「事実上のFG確率」となり、FTを除くシュートの確率に対し3Pは2Pの1.5倍の重みを付けて算出する考え方です。

単純にFG%を見た場合、2Pより確率が低くなる3Pシューターが評価されにくくなることをカバーします。

また以前触れたようにFTでコツコツ稼ぐタイプの選手はこの数値では量りきれないことにもなります。

analyzebleague.hatenablog.com

eFG%に関してはまた別の機会に詳しく見たいと思います。

「量」を深掘った話

「リバウンドを制する者は試合(ゲーム)を制す」

スラムダンクの名言の一つですね。

まさにこのスタイルなのがBリーグでは栃木ブレックスです。

シュート確率は高くないですが、ORBに3人が飛び込みセカンドチャンス、サードチャンスを活かして得点を取るスタイルです。弱点としてはORBに人数をかけたにもかかわらず相手にボールが渡った場合、逆に速攻のチャンスを与えてしまうリスクがあります。

一方でNBAのORB事情は変化してきていて、下記のように獲得率が推移しています。慌てて撮った写真は拡大しても全く数字が読めませんが、5年で半分以下になっています。

f:id:AnalyzeBLeague:20180921141917p:plain:w500

このときの話ではヒューストン・ロケッツとそのエースであるジェームス・ハーデンを例に挙げていました。

2018年シーズンのMVPであるハーデンがペイントエリアに侵入しやすくするために他の選手が外へ広がり、ハーデンがシュートできなくても外で待ってる選手にパスアウトして3Pを沈めるという作戦です。

ロケッツは3Pの試投数が2Pのそれを上回るほどに3Pを重視し外へ開いたポジションを取っているので、ORBの数は減るということになります。

またロケッツに限った話ではないですが、最近のトレンドとしてはビッグマンも3Pを打つのが当たり前になってきています。

まとめ

Bリーグ : O.F.T : ORB, FT, TOV

NBA : T.F.T : 3P, FT, TOV

現状Bリーグはまだまだ、まだまだ途上段階(NBAと比べるのはアレですが)であり、ORBを奪取して複数回シュート放ち点を取っている。NBAでは一撃必殺の3Pを高確率で沈め、安易な速攻を防ぐ傾向にあります。そのため攻守交代の頻度も高く1試合あたりの攻撃回数(ペース)も増えているようです。

データの見方に関するアドバイスやご指摘大歓迎です。