BLeagueを分析

BLeagueのデータをいろんな視点で分析したい分析素人のブログ

一番シュートが巧いのは誰だ!?

「シュートが巧い」とはどういうことでしょう!?

  • FG%が高い?
  • 3Pを決めた本数が多い?
  • シュートフォームがきれい?
  • タフショットを決められる?
  • クラッチタイムに決められる?

個人的にはシーホース三河の金丸を推したいのですが、好みの問題になってしまうのでシュートに関する指標をいくつか見ていきたいと思います。

1. FG%(Field Goal Percentage)

FG% : 最も一般的なシュートに関する指標

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野球の打率に似た単純な計算式で表せます。

しかし、この式はとても古く3Pという飛び道具の無い時代に確立された考え方なのです。

2Pも3Pもシュート1本に変わりはなく、入っても入らなくてもフリースロー以外のシュート1本なので、1試合を大枠で捉えてシュートが入っていたかどうかには良いですが、選手個人のスタッツを見る上では現代には合っていなそうです。

eFG(effective Field Goal Percentage)

eFG% : FG%の弱点を補うために3Pは2Pの1.5倍の価値を持たせた指標

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FGMには3Pの成功が含まれているので、1.5倍換算のうちの0.5倍部分だけを別途加えます。

下記でも同じはずですが。。。分かりやすくなってますかね。

(2PM + 1.5 x 3PM) / FGA

(余談)佐々木クリスさんの Effective Field Goal Percentage がカッコよかったです。

この指標では3Pシュートに対する補正がかかるので、アウトサイドの選手にとって重要です。

「3P 40% = 2P 60%」と見ると難易度としては親しいように見えます。

TS%(True Shooting Percentage)

TS% : 真のシュート確率? FTも考慮した指標

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この式から分かることは、「シュートの効率」です。

それにしても0.44がナゾですね。

NBAオクラホマシティ・サンダーのWEBサイトに0.44について書いてありますが、理解できるようなできないような難しい話に感じます。

シューティングに対するファウルで得るFTは1~3本で、他にもアンスポ/テクニカル、フレグラントファウル、クリアパスファウルなど様々な理由でFTが得られるので、それらをゴニョゴニョしたら0.44という係数に辿りつけるらしいです。Bリーグのデータを見る場合はまた違う係数がを用いるのが正しいと思いますが算出できないので0.44で考えていきます。

2017-18データ

2017-18シーズンのポイントランキング Top101の選手に対し、FG%、eFG%、TS%をそれぞれ出してみました。

得点、FG%、eFG%、TS%の項目をクリックまたはタップするとソートできます。

名前 チーム 得点 FG% eFG% TS%
ダバンテ・ガードナー新潟169557.04%59.10%65.54%
ニック・ファジーカス川崎151755.32%58.29%63.23%
ギャビン・エドワーズ千葉108860.87%61.52%63.76%
マーク・トラソリーニ北海道106555.51%59.86%63.78%
宇都直輝富山100545.29%45.74%50.64%
ロバート・サクレSR渋谷99248.17%48.42%52.98%
アレックス・カークA東京97360.61%61.79%66.65%
ジョシュア・スミス京都97267.08%67.08%68.02%
桜木ジェイアール三河91655.64%56.03%60.69%
金丸晃輔三河89444.55%51.58%55.02%
ハッサン・マーティン琉球88964.32%64.32%66.32%
ジョシュ・スコット島根87051.66%51.66%56.82%
ジャスティン・バーレル名古屋D82660.71%60.89%65.03%
ディオール・フィッシャー滋賀80362.36%63.11%66.77%
ドゥレイロン・バーンズ西宮80138.91%46.40%52.02%
富樫勇樹千葉78747.39%56.92%59.60%
川村卓也横浜77841.59%49.13%54.28%
ライアン・ロシター栃木77046.50%49.14%49.07%
ハシーム・サビート横浜76856.12%56.12%58.78%
マイケル・パーカー千葉75964.09%65.73%65.68%
辻直人川崎74541.42%54.65%59.60%
ジュリアン・マブンガ京都73444.67%52.15%58.98%
並里成滋賀71940.08%42.22%45.80%
比江島慎三河70850.54%55.13%57.94%
道原紀晃西宮69642.33%47.00%52.39%
クレイグ・ブラッキンズ名古屋D67945.13%53.36%55.63%
アイラ・ブラウン琉球67449.03%54.92%56.81%
小野龍猛千葉66540.22%48.21%51.73%
ベンドラメ礼生SR渋谷66140.68%46.76%49.70%
デクスター・ピットマン富山65458.51%58.51%59.97%
田中大貴A東京64943.31%49.30%52.57%
ジョシュ・ハレルソンSR渋谷64042.83%49.20%52.02%
五十嵐圭新潟63840.00%50.87%54.97%
岸本隆一琉球61538.13%49.16%52.91%
ジョシュ・デービス川崎61457.63%57.63%58.45%
笹山貴哉名古屋D60542.09%49.44%52.34%
サム・ウィラード富山60243.59%50.29%53.50%
ダニエル・ミラー北海道59458.97%58.97%61.64%
アイザック・バッツ三河58765.43%65.43%67.07%
田渡修人三遠57143.40%55.77%57.32%
熊谷尚也大阪56837.12%44.58%46.82%
スコット・モリソン三遠56857.95%57.95%58.88%
大塚裕土富山55840.96%51.61%53.43%
ウェンデル・ホワイト三遠55842.89%48.41%52.43%
ジェロウム・ティルマン名古屋D54841.69%48.34%53.41%
ジェフリー・パーマー横浜54541.59%48.36%53.87%
ジャワッド・ウィリアムズA東京53143.64%50.44%53.71%
佐藤公威島根52338.42%47.93%48.56%
ウィリアム・マクドナルド横浜52246.54%47.15%47.75%
藤井祐眞川崎51640.05%47.96%52.52%
喜多川修平栃木51441.18%51.36%54.51%
竹内譲次A東京50647.99%54.29%59.05%
伊藤達哉京都50543.38%46.05%48.94%
太田敦也三遠49651.27%51.28%56.52%
ファイサンバ滋賀49254.32%55.41%58.55%
ロバート・ドジャー三遠48745.19%52.60%55.84%
谷直樹西宮48535.68%42.01%46.45%
岡田優介京都48538.14%52.06%56.36%
遠藤祐亮栃木48237.10%43.85%45.82%
安藤誓哉A東京48243.72%50.00%54.15%
篠山竜青川崎47847.10%52.02%55.13%
セドリック・ボーズマン栃木47746.44%49.21%54.79%
エグゼビア・ギブソン大阪47649.72%51.14%56.70%
キース・ベンソン大阪47651.67%52.64%57.35%
張本天傑名古屋D47443.26%51.97%56.34%
折茂武彦北海道47240.20%46.36%51.90%
古川孝敏琉球47038.76%47.73%51.60%
永吉佑也京都46941.11%46.88%50.21%
デイビッド・ウェア大阪46241.76%46.16%48.98%
狩野祐介滋賀45942.02%53.06%56.42%
レオ・ライオンズ千葉45547.18%51.41%55.80%
多嶋朝飛北海道45445.33%51.42%57.05%
相馬卓弥島根44936.40%43.79%45.58%
安藤周人名古屋D44840.78%52.34%54.51%
ダニエル・オルトン三河44452.01%54.20%60.05%
ドリュー・ヴァイニー富山43845.71%52.57%55.96%
長谷川智伸滋賀43636.29%46.32%49.42%
中東泰斗名古屋D43240.83%46.82%48.77%
ジェフ・ギブス栃木43049.19%51.62%58.36%
田代直希琉球42441.79%53.89%56.38%
片岡大晴京都42243.18%47.59%53.11%
ハーバート・ヒル西宮41850.68%50.69%52.17%
細谷将司横浜41239.78%49.30%53.12%
川嶋勇人三遠41138.29%44.71%47.16%
橋本拓哉大阪40941.93%46.58%53.93%
竹内公輔栃木40849.42%50.15%52.46%
ラモント・ハミルトン新潟39945.40%50.74%52.85%
アキ・チェンバース千葉39049.21%55.40%56.82%
高橋耕陽滋賀38642.31%49.11%52.21%
満田丈太郎横浜37845.81%50.45%52.63%
ベンキー・ジョイス滋賀37453.42%53.94%50.68%
田渡凌横浜37242.08%43.44%46.77%
ヒルトン・アームストロング琉球36956.00%56.00%56.96%
上江田勇樹富山36840.49%51.38%52.61%
橋本竜馬三河36641.82%53.46%58.58%
関野剛平北海道36538.34%46.93%50.22%
石井講祐千葉36142.07%54.69%56.02%
野口大介北海道36041.74%47.75%50.33%
鈴木達也三遠35937.39%43.62%47.38%
長谷川智也SR渋谷35640.00%47.10%48.62%
桜井良太北海道35644.03%47.76%55.95%

FG%

当然インサイドの選手が上位です。

eFG%

やはり上位はインサイドの選手が多くなりますが、その中にも特徴的なポイントがありました。

川崎のファジーカスと北海道のトラッソリーニです。

Bリーグにおける多くのインサイドプレイヤーは3Pを多くは放ちませんが、この2人は例外で3Pを高確率で決めてきます。

3Pは2Pの1.5倍の価値 => 3Pを2Pの2/3の確率で沈めれば同価値

2Pに比べて試投数は減りますが、40%という3Pシューター並みの確率で3Pを決めていることでeFG%が更に高くなっています。

3FGM 3FGA 3P確率 1.5 x 3P確率 2FGM 2FGA 2P確率 FG% eFG%
ファジーカス 62 139 44.6 66.91 515 904 56.97 55.32 58.29
トラッソリーニ 64 153 41.83 62.75 344 582 59.11 55.51 59.86

TS%

ゴール下を主戦場とするセンター勢のFG%, eFG%に大きく引っ張られていることは否めないです。

FTをきっちり決められる選手はFG%, eFG%よりも数字を伸ばせているので、アウトサイド勢には上位を取るのは難しい指標です。

eFG%-FG%

3PシューターがいかにeFG%によって恩恵があるかを示してみました。

名前 チーム 得点 FG eFG TS eFG-FG
岡田優介 京都 485 38.14% 52.06% 56.36% 13.92%
辻直人 川崎 745 41.42% 54.65% 59.60% 13.23%
石井講祐 千葉 361 42.07% 54.69% 56.02% 12.62%
田渡修人 三遠 571 43.40% 55.77% 57.32% 12.37%
田代直希 琉球 424 41.79% 53.89% 56.38% 12.10%
橋本竜馬 三河 366 41.82% 53.46% 58.58% 11.64%
安藤周人 名古屋D 448 40.78% 52.34% 54.51% 11.56%
狩野祐介 滋賀 459 42.02% 53.06% 56.42% 11.04%
岸本隆一 琉球 615 38.13% 49.16% 52.91% 11.03%
上江田勇樹 富山 368 40.49% 51.38% 52.61% 10.89%
五十嵐圭 新潟 638 40.00% 50.87% 54.97% 10.87%
大塚裕土 富山 558 40.96% 51.61% 53.43% 10.65%
喜多川修平 栃木 514 41.18% 51.36% 54.51% 10.18%
長谷川智伸 滋賀 436 36.29% 46.32% 49.42% 10.03%

eFG%-FG% が10%超えだけの抜粋ですが、ちゃんと3Pシューター勢揃いになりました。

TS-eFG

この差からは何が分かるでしょう?

諸事情で1人だけにフォーカスしますが、ダントツのトップは北海道の鉄人桜井でした。

得点 FG eFG TS TS-eFG
356 44.03% 47.76% 55.95% 8.19%

得点はギリギリのTop100入なのですが、

 2P : 98 / 198 ≒ 49.50%

 3P : 20 / 70 ≒ 28.6%

 FT : 100 / 114 ≒ 87.72%

2PとFTの確率が高くTS%がハネていることで高い値となっています。全60試合出場していますし、2016-17シーズンもほぼ同じようなスタッツだったので計算のできる選手というところでしょうか。

まとめ

式やデータを並べといておきながら、シュートが巧いということを数字から導くことは難しいことが再認識できました。

誇大タイトルすみません

単純なFG%だけでは現代バスケのシュートの指標としては心許ないことは間違いないと思います。

eFG%に関しては、同じポジションや特徴の選手を比較する際に優れていると思います。

TS%に関しては、同じチーム内で比較してここぞというオフェンスオプションを考えるときに使えるでしょうか?当然対戦相手も分かっているので、裏の取り合いになりそうな気はします。

データから金丸を導こうとしまいたが、いくつかの指標を見てもできませんでした。

ここぞというとき、相手にとって決められたくないときに仕事をしているイメージなので、それを数値化できれば導けそうな気はします。

例えば

  • 各クォーター残り24秒を切ったラストプレーを任されている。
  • 得点がリード、ビハインドの状態でのシュート確率の比較をする。
  • 第4クォーター残り2分を切ってからのシュートセレクションがどうなのか?

などなどを数値化できればシュートが巧いという感覚的なものではなく、定量的にチームのエースが見えてくる気がします。

参考

squared2020.com

Statistical Analysis Primer | Oklahoma City Thunder

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